COPY REVIEW

COPY

67minutes DV スタンダード color 日本 2001年


更新日 2014-03-15

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評論家オイカワマサユキさんのコメント

『COPY』 2003,6,23
制作・監督・脚本:河野和男

 河野和男がこのストーリーに込めた意図を、ぼくがちゃんと理解できているかは正直自信がない。しかし、何度も幸福な思いをした。物語が進むに連れて登場人物たちがどんどん愛しく思えてくる。複数の主人公にそれぞれのキャラクターを与え、そのキャラクターにふさわしい演出を施すだけでは、これだけの愛着は沸かないと思う。そういった通り一辺の演出を超えた何かがここにはある。それが何かを正確に言うことは難しい。ものすごい精神論で言い切ってしまうなら、この作家が登場人物たちを、そして役者たちを本気で愛しているからこそ、このような作品を撮れた、ということになると思う。しかし、本気で愛しているからと言って、『COPY』のように撮れるかと言えば、そんなことは無いはずだ。日常的な身振り、仕草、表情の推移で役者を輝かせる術を河野和男は知っている。とりあえずそれだけは言える。
 特に素晴らしいのは、登場人物たちの笑顔だ。いくつもの忘れられない笑顔がある。それらの笑顔を目にした時、ああ、この映画を見て本当に良かった、と思った。そして、この笑顔を撮り得た河野和男にぼくは嫉妬した。彼が幸福な映画作家だからだ。この世には撮れば撮るほど不幸になる映画作家と、何を撮っても幸福になる映画作家の2種類がいると思うが、河野和男は間違いなく後者だ。
 ロングショットにこの作家の実力を感じる。
 ラスト近くの結婚式のシーン、忍び寄るスナイパーが襲撃して逃げるまでのロングショットには特に興奮した。グリフィスの『エルダーブッシュ峡谷の戦い』のワンシーンかと思った。LinkIcon映画雑食主義

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